4月28日奥州桜と城址の旅第二陣・その5【陣ヶ丘と黒沢尻柵】(岩手県北上市)2013年05月04日 23時57分51秒

平泉に戻り少し遅い昼食をとった後は北上市まで北上し、東北三大桜の名所に数えられる北上川展勝地へと向かった。4月28日時点で平泉付近より北は桜の咲き具合がまだ期待できないのは判っていたが、桜まつりのポスターを見てふと無性に行きたくなったためである。


北上川展勝地
北上川展勝地は北上市の市街地から北上川を挟んで対岸にあり、堤防の上からは延々と続く桜並木を望むことが出来た。桜は遠景ではごらんの通りのまばらな状態で五分咲き程度に見えた。


北上川展勝地(近景)
しかし、近くまで行って見ると思いのほか咲いているように見えたし、木によっては満開に見えるものもあって綺麗だった。ちなみに川には渡し舟が出ているので、それに乗って対岸へと渡った。


陣ヶ丘(麓から)
桜並木を南に行くとレストパークがあり、そこには露店が沢山出ていて人ごみでごった返していた。このレストパークの山側に見える丘が「陣ヶ丘」と呼ばれる場所で、「前九年の役」で源頼義が黒沢尻柵を攻撃するために構えた本陣の跡だという。いわゆる付城とか陣城と呼ばれる臨時の城の類である。


陣ヶ丘頂上
露店でつきたての餅を食べたりしてすっかり時間を食ってしまったが、なんとか日が落ちる前に陣ヶ丘へと登った。丘の上は公園として整備されており、頂上には広い平場があった。ここには東屋があるが木々が邪魔で微妙に展望は悪い。


陣ヶ丘横堀
遺構としては平場の周囲の一段低い場所に横堀が巡らされており、平場と堀だけの単純な構造は確かに陣城らしいものだった。画像では帯郭のようにも見えるが、調査図には横堀の跡として描かれており、画像の奥あたりはハッキリと横堀と感じる窪みになっていた。


陣ヶ丘から見た北上川展勝地
頂上は眺めが悪かったが、場所によっては視界が開けており、そこからは北上川展勝地が一望できるためなかなかの絶景だった。画像は頂上より低い場所にある手摺が設けられてる場所、ここの他にも見張り台跡という突き出した岩の上も眺めが良かった。桜が満開になったらここからは見事な景色が撮れそうである。


みちのく民俗村
なお、陣ヶ丘の背後には「みちのく民俗村」という古い建物を移築したテーマパーク?のような場所があり、ここにも興味が惹かれたが残念ながら営業時間終了5分前だったため諦めることになった。


暮れ時の北上川展勝地
渡し舟も既に営業終了だったため、今にも沈みそうな太陽を脇目に桜並木を北上し、遠回りだが北にある橋を渡って市街地へと戻った。ちなみに橋の手前には川を横断して沢山の鯉幟がつるされており、この日は風が強かったため音を立て激しく川の上を泳いでいた。


黒沢尻柵
せっかく陣ヶ丘を見たのだから、陣城が相対した対象である黒沢尻柵跡にも立ち寄った。黒沢尻柵は「前九年の役」で安倍正任が立て篭もった城柵で、現在は北上市の市街地の中にある。市街地の中心に近いにも関わらず遺構は画像のように堀の一部が残っており、現在はこの堀の周囲が公園となっている。画像左の高くなっている方が北上川方面で、右の低い方が内陸側のため、構造としては厨川柵(安倍舘)に近いものと思われる。


黒沢尻の桜
ちなみにこの黒沢尻柵跡がある公園もまた桜が数本植えられており、こちらは全て満開で綺麗に咲き誇っていた。日が落ちる寸前のためあまり良い画が撮れなかったのが残念だったが、それでも十分花見にはなったので良い収穫だった。